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医学ひとくち講座
腎臓病を知ろう その1「腎臓病の働きとタンパク尿・血尿について」


Q1
腎臓って名前は知っていますが馴染みがありません。どこにあってどんな形をしているのですか?
腎臓は、どこにある?(図1)
腎臓は、どこにある?(図1)
 腎臓は腰より上の背中の内側に左右1個づつあります。そら豆の形をしていて縦10p、横5p、厚さ3p、重さ100g位の比較的小さな臓器ですが、1分間に500ml、左右合わせると1000mlの血液が流れています。これは心臓から送り出される血液の4分の1にあたり、もっとも血流の豊富な臓器です。(図1)

Q2
腎臓はからだの中で何をしているのですか?

  腎臓の主な働きを「表1」に示します。

 人のからだの60%は水からできていて、そのうち20%は塩水(生理的食塩水:0.9%塩化ナトリウム)です。塩化ナトリウム以外にもカリウム、カルシウム、マグネシウム、リンなどの電解質とよばれるものが溶けています。細胞が生きていくためにはこれらの濃度が一定に保たれていなければなりません。腎臓の働きを一言でいうと、体内の水の環境を一定に保つこと、つまりからだに含まれる水や電解質の量を一定に調節すること(これを「体液の恒常性を維持する」と言います)です。

 食物や飲み物としてからだに入る水や電解質は毎日異なりますが体内の量が一定に保たれているのは、食べたり飲んだりして多すぎるものは尿に出し、少ないものは尿に出ないように腎臓が調節しているからです。例えば、砂漠に行って水が飲めなければ尿量が少なくなり、反対にビールをガブガブ飲むとたくさん尿が出て体内の水の量が一定に調節されます。水ばかりでなく塩分(塩化ナトリウム)やカリウムなどの電解質も同様に食べる量に応じて尿に排出される量を調節しています。

 腎臓の働きが正常であれば食べたり飲んだりする量の許容範囲は広く毎日相当変わっても体液の恒常性は維持され生命に危険はありません。(表2)

 三大栄養素(炭水化物、脂肪、タンパク質)のうち、炭水化物と脂肪は水素と酸素と炭素からできていて体内では水と二酸化炭素になります。一方、タンパク質には窒素が含まれていて体内で代謝されるとアンモニアや尿素などの窒素化合物になります。これらの窒素化合物には毒性があるので常に体外に出さなければなりません。腎臓は窒素化合物を尿として体外に排泄する唯一の臓器なので、腎臓の働きが悪くなり多量の窒素化合物が体内に蓄積すると様々な症状(尿毒症)がでてきます。

 この他にも造血(赤血球を産生させる)ホルモンであるエリスロポイエチンや血圧を上げるレニンと物質を産生・分泌したり、骨を調節するビタミンDを活性化(体内で作用する形に変える)したりしています。

Q3
腎臓が悪くなるとどんな症状がでるのですか?
  腎臓は体液の恒常性を維持するために日夜働き続けていますが、その働きは日頃は目立たない地味な臓器です。また、腎臓の働きには予備能があり多少働きが低下しても体液の恒常性は維持され特に問題はおこりません。したがって、いろいろな症状が出てくるのは腎臓の働きがかなり低下してからです。腎臓の働きが半分以下になると夜間尿(夜、眠ってから尿に起きる)が見られます。正常な腎臓は、睡眠中は尿を濃くして量を減らしますが腎臓が悪くなると尿を濃くする力が弱くなることと睡眠中は腎臓の働きが良くなり尿をたくさん作るためです。腎臓の働きがさらに低下すると高血圧、むくみ、貧血などが見られるようになり、1割以下に低下すると体のだるさ、疲れやすさ、食欲不振、吐き気が出てきます。こうなると透析療法が必要になります。

Q4
健康診断で尿にタンパクや血液が混じっていると言われたのですが、腎臓の異常を早く発見するにはどうしたら良いのですか?
  タンパク尿や血尿は腎臓病の最初のサインです。腎臓の病気には急に始まる病気とゆっくり始まる病気があります。急に始まる病気には急性腎炎やネフローゼ症候群があり、多くは急にむくみが出るので早期に診断されます。

 一方、ゆっくり始まる病気には慢性糸球体腎炎や、糖尿病が長く続いているうちに腎臓が悪くなる糖尿病性腎症、高血圧による腎臓病である腎硬化症などがあります。これらの病気は自覚症状がないままゆっくり進行し症状が出た時にはすでに重症の腎不全に陥っていて、近い将来、透析療法が必要になってしまうことが少なくありません。

 透析を受けておられる患者様のほとんどがこれらのゆっくり始まる病気で腎不全になってしまった方です。しかし、これらのゆっくり始まる腎臓の病気でもタンパク尿や血尿は病気の始まりの頃からでています。1年に1回は健康診断や通院中の病院で尿検査を受け、異常があったら必ず再検査を受けて下さい。また、むくみや高血圧も腎臓病の大切なサインです。

山地 泉 (やまじ いづみ)先生

空知郡雨竜町出身、専門分野/腎臓内科学
札幌医科大学非常勤講師、旭川医科大学非常勤講師、腎臓学会指導医、透析医学会指導医、内科学会認定医、循環器学会専門医
1980年  札幌医科大学卒業
     第2内科で心臓病と腎臓病の臨床研修および腎臓と高血圧について研究
1986年  米国留学
1988年  札幌医科大学助手(第2内科、ICU)
1990年  旭川赤十字病院に腎臓内科を開設
2003年4月 手稲渓仁会病院腎臓内科部長

 腎臓病を早期に発見し適切な治療によって腎不全の発症を予防したり進行を遅らせて透析治療を回避すること、と同時に透析が必要な患者様にはクオリティの高い透析治療を提供する事を目指しています。
所属:医療法人渓仁会手稲渓仁会病院 腎臓内科

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