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医学ひとくち講座
神経ブロックの実際〜神経ブロックで良くなる辛い痛み〜(片山勝之先生)


Q1
神経ブロックって何ですか?
  元々ブロックとは、何かを「遮断する」という意味です。つまり神経ブロックとは、知覚・運動神経や交感神経を伝わる信号を一時的あるいは数ヶ月から数年間に渡って遮断する治療方法です。実際には、目標とする神経のすぐ近くまで細い針を進めて、局所麻酔薬や神経破壊薬を注入します。これによって、痛みや痙攣、発汗異常、血流障害などによる様々な不快な症状を緩和できます。手術を全身麻酔ではなく局所麻酔下で行う場合にも、神経ブロックの方法が使われます。

Q2
具体的にはどんな疾患が適応になりますか?
 ペインクリニックで扱う疾患の中でも、各種の神経痛(帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、舌咽神経痛、肋間神経痛、坐骨神経痛、筋収縮性頭痛、肩こり、慢性頭痛、いわゆる腰痛症)、悪性腫瘍による疼痛、顔面痙攣、多汗症、レイノー病、閉塞性動脈硬化症、網膜中心静脈閉塞症などが適応となります。アレルギー性鼻炎に効くブロックもあります。

Q3
神経ブロックにはどんな種類があるのですか?

 神経ブロックには、ブロックを行う神経の数と同じ数だけの膨大な種類があります。しかし、大きく分けると、知覚神経のブロック、運動神経のブロック、交感神経のブロックの三つに分けられます。慢性痛の多くは知覚神経ではなく交感神経をブロックすることで症状の軽減を得られることが多いため、交感神経ブロックが中心に行われます。代表的な神経ブロックには、星状神経節ブロック、硬膜外神経ブロック、腰部交感神経節ブロック、肩甲上神経ブロック、肋間神経ブロック、三叉神経ブロック、クモ膜下神経ブロックなどがあります

Q4
神経ブロックの効果はすぐに無くなってしまうのでは?
 知覚神経や運動神経のブロックの作用時間は、使用する薬の効果時間に限定されてしまいます。手術の際の神経ブロックの場合には短時間作用の局所麻酔薬を用いて、むしろ術後間もなく感覚や運動機能が回復するように使います。しかし慢性通や痙攣に対する知覚・運動神経ブロックでは、より長く効く局所麻酔薬や、フェノールグリセリン、エタノールといった神経破壊薬が使われます。一方、交感神経ブロックでは局所麻酔薬の本来の作用時間を超えた長時間の効果が得られるため、週1〜2回程度の神経ブロック治療でも継続的な効果が得られます。

Q5
星状神経節ブロックを勧められたのですが、どんな効果が得られますか?

 星状神経節ブロックは、ペインクリニック外来で最も多く行われる交感神経ブロックです。交感神経は脊椎を挟むようにして両側の頚部から腰部に位置していますが、頚部の交感神経節はその形が星型に見えるため星状神経節と称されています。この星状神経節がブロックされると頭頚部から上肢、肩、前胸部までの広い範囲の交感神経遮断効果が得られます。非常に多くの適応症が挙げられており、代表的なものとして、頭部から上半身の帯状疱疹、顔面神経麻痺、三叉神経痛、各種の頭痛、網膜血管閉塞症、上肢の血行障害、アレルギー性鼻炎、多汗症などがあります。(図2)

Q6
神経ブロックに副作用はないのですか?
 多くの神経は血管に伴走して位置しているため、出血や注入した薬液の一部が血管内に入って局所麻酔薬中毒といった副作用が起こる可能性があります。また、局所麻酔薬の拡がりによっては、周辺の神経にも影響が及んで一時的に部分的な運動麻痺やしびれが起こることがあります。持続的な効果を得るために神経のそばに細いチューブを留置して薬液を注入する方法では、感染症に対する注意が必要になります。交感神経がブロックされると血管が拡張して血圧が下がるため、一過性に立ちくらみが強く起こる可能性があります。これらの副作用の発生頻度は決して高いものではありませんが、事前に十分担当医から説明を受けることをお勧めします。

Q7
神経ブロックを受けるためには入院が必要ですか?
 ほとんどの神経ブロックは外来で受けることができます。しかし、長期の効果を期待する永久ブロックや、持続的な効果を得るために体内に注入チューブを留置する場合には入院が必要になります。詳しくは担当医にお問い合わせください。

片山 勝之 (かたやま かつゆき)先生

昭和31年生まれ 蠍座 最近の趣味は船釣り

昭和56年岩手医大卒業、同年北大麻酔科入局、国立札幌病院麻酔科、同救命救急センター、国立循環器病院麻酔科
昭和63年4月より手稲渓仁会病院麻酔科主任医長
平成16年4月より同麻酔科部長

日本麻酔学会認定指導医、日本麻酔学会評議員、日本心臓血管麻酔学会評議員、日本小児麻酔学会評議員、日本麻酔集中治療テクノロジー学会評議員、
医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院 麻酔科部長
片山 勝之 (かたやま かつゆき)先生

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