 ラジオ波治療に用いるクールチップ針
より一層の普及が期待される肝臓ガンの内科的な治療法。
肝臓ガンの内科的な治療方法「ラジオ波治療」をご存知でしょうか?
日本の医療現場に「ラジオ波治療」が導入されたのは1999年春。以後、急速に広まりつつあります。また、今年4月から保険に適応され、より一層の普及が期待されているといいます。
医療法人渓仁会手稲渓仁会病院・消化器病センターの辻 邦彦医師に話しを聞きました。
Q.ラジオ波治療の正式名称は何というのですか。
A.ラジオ波焼灼療法(Radio-frequency ablation therapy:RFA)と言います。
Q.日本の医療現場にはいつから、また、手稲渓仁会病院ではいつから導入されたのですか。
A.1999年春からです。当院では1999年7月から導入しております。
Q.治療に用いる機器はどのようなものなのですか。
A.ラジオ波(約500KHzの中周波数の電流)熱発生装置(本体)と、穿刺針(電極針)から構成されています。穿刺針は、展開針と単針の2タイプがあり、当科では主に単針のクールチップを使っています。
Q.どのような病気の場合に用いられる治療なのですか
A.肝細胞ガンのほか、転移性肝ガンにも適応できます。ただどちらも、完治可能な腫瘍径は2cmまでです。
2cmをこえる例でも、肝機能が不良あるいは高齢で体力がないなどの理由で手術ができない場合は、多数回の穿刺や動脈塞栓術との併用などで、RFAを施行して良好な成績が得られております。ただし、治癒可能な腫瘍径は3cmまでが限界です。個数は通常3個以内であれば適応できますが、これについてはこだわっていません。
Q.治療法の手順はどのようなものなのですか。
A.局所麻酔をかけた後、超音波で腫瘍を確認しながら、RFA針を挿入し、鎮静剤点滴にて痛みが感じなくなってから通電を開始します。
通電する最大出力は腫瘍の大きさで異なりますが、平均で80〜150ワット。通電を行う時間は、通常12分間以内とごく短時間で終了しています。
Q.ラジオ波治療のメリットはどのような部分ですか。
A.最大のメリットは、切開などの必要がなく合併症の危険性も少ないため、翌日には退院が可能であるという体にやさしい治療法であることです。なおかつ手術と同等な治療成績が得られます。
Q.ラジオ波治療のデメリットはありますか。
A.ありません。ただし、手術や内視鏡治療なども含め何でもそうですが、偶発症は低頻度ながら報告されていますので、経験豊富な施設で受けることが推奨されます。
Q.年間どれくらいの人がこの治療を受けているのですか。
A.年々増加傾向にあります。当科では昨年延べ100回施行しています。
Q.入院日数はどう異なるのですか。
A.入院日数は短く、治療後2〜3日で退院が可能です。
Q.「ラジオ波治療」は、今年4月から保険に適応され、より一層の普及が期待されていると聞きます。広く普及するための課題はありますか。
A.超音波で腫瘍の場所を誘導しながら安全なルートで正確に腫瘍を穿刺する技術が必要です。出血や周囲臓器損傷などの合併症を防ぐためにも、腹腔鏡下アプローチ(※1)や人工胸水併用(※2)などさまざまな工夫も必要となりますので、ある程度の経験が必要となります。
※1 腹腔鏡下アプローチ 腹腔内に炭酸ガスを注入したり(気腹法)、腹壁を機械で持ち上げたり(腹壁つり上げ法)し、腹腔内を観察する腹腔鏡カメラを入れ、径数ミリから十数ミリの器具を用いて行う手術法。 ※2 人工胸水併用 肺が近くにあり腫瘍がみえずらい場合、胸腔内に生理食塩水などを注入してラジオ波を施行する方法。
 ラジオ波治療中の様子
 ラジオ波治療後に撮影したCT像
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